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TikTokビジネスアカウントでは「事業登録」が必要?
TikTokビジネスアカウントでは「事業登録」が必要?
TikTokは主にショート動画を投稿・視聴するためのアプリで、多くのユーザーが利用しています。
そのため、認知拡大や新規顧客獲得を目的として、企業もTikTokを利用するようになりました。
企業がTikTokを運営する際には、そのまま使用するか事業登録をするかの2択になります。
では、事業登録をすることで企業にはどのようなメリットやデメリットが発生するのでしょうか。
こちらの記事では、事業登録を行ってTikTokビジネスアカウントを運営することについて解説します。
TikTokにおける「事業登録」とは?
本来の事業登録とは、個人事業主として事業を始める際に「開業届」を提出することになります。
不動産所得や山林所得が発生する事業を始めたとき、納税地を所轄とする税務署に開業届を提出します。
開業届が必要か不要かについては事業の規模や継続性などから判断できます。
たとえば、FX取引や株式投資は営利目的や反復継続性があったとしても、開業届の提出は不要です。
一方、商品やサービスを販売するビジネスの場合は継続性が認められるため、開業届が必要になることがあります。
これらの判断が難しい場合は所轄となる税務署に確認することで、開業届が必要か不要かを判断してくれます。
TikTokにおける事業登録は取得した開業届をTikTokに提出し、ビジネスアカウントを開設することを指します。
ビジネスアカウントを開設することで、個人アカウントではできなかった下記を実行できるようになります。
- プロフィールに外部リンクを追加できる
- アカウントのカテゴリーを設定できる
- 動画によってはプロモーション色を薄められる
- アカウントのデータ分析ができる
- 商用楽曲ライブラリの楽曲を利用できる
詳細については、後述する「ビジネスアカウントのメリット」にてご説明します。
事業登録のメリット
事業登録を行うことによって、下記のようなメリットを得られます。
青色申告による控除を受けられる
事業登録を行うことによって、確定申告の際に青色申告を選べるようになります。
青色申告で確定申告を行うことによって、複式簿記やe-Taxといった申請条件を満たすことで、控除を受けられます。
その額は最大65万円で、家族に支払う給与を経費にできたり、赤字を最長3年間繰り越せたりといったメリットを得られるのです。
青色申告を行うためには事業開始から2ヶ月以内に所轄の税務署に対して「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。
開業1年目から青色申告を希望する場合は、開業届とともに所得税の青色申告承認申請書を提出しましょう。
なお、収入が少ないと判断されたり、単発だったりすると雑所得とみなされ、青色申告ができないことがあります。
屋号名義で銀行口座を開設できる
皆さんのなかには、企業に入金をする際「○○(カ」や「(カ)○○」といった名義を見かけたことがある人がいると思います。
この口座名義は個人で勝手に名前を変えることはできず、事業登録を行って屋号で口座を開設しなければなりません。
屋号で銀行口座を開設できれば、プライベートのお金と区別がしやすく、ビジネス用のお金を管理しやすくなります。
そのため、確定申告や経費処理、資金繰りの管理なども、共用の口座よりも行いやすくなるでしょう。
また、振込先が屋号であることから振り込み主が事業用の口座であることを明確に理解できるようになります。
これらは顧客や取引先からの信頼に直結する可能性が高い要素であることから、事業登録によるメリットといえるでしょう。
個人事業主としての証明になる
開業届は個人事業主として事業を運営していることを、公的に証明する書類となります。
公的な証明を得られることによって、店舗やオフィスを借りるときや、金融機関から融資を受ける際に使えます。
また、開業届の有無やビジネスモデル、収益などによって、個人よりも事業主であった方が借入が可能な額が高くなります。
ほかの利用用途としては、個人事業主が子どもを保育園に入園させる際に必要となる、就労証明書にもなるのです。
このように、開業届を取得することによって、個人事業主には証明書としてさまざまなメリットを得られる点はメリットといえます。
本来は運転免許証やマイナンバーカードは個人を証明するものになりますが、ビジネスの観点でも信用を得られるのです。
小規模企業共済に加入できる
小規模企業共済とは、個人事業主や小規模の企業を運営している経営者などが加入する、積み立てによる退職金制度です。
企業に所属していれば退職金制度が設けられているため退職後に受け取れますが、個人事業主については退職金を受け取れません。
そこで、小規模企業共済に加入することで退職金を受け取れるようになるため、定年後の備えとなるのです。
しかし、個人事業主が小規模企業共済に加入するためには開業届が必須であり、事前に届けを取得しておかなければなりません。
また、小規模企業共済は退職金だけではなく、掛け金が全額所得控除できるため、税の負担を抑えられます。
届け出の際には確定申告書の控えを提示しなければならないため、事業を始めたばかりの事業主は確定申告を行いましょう。
事業登録のやり方
事業届・開業届については、下記の手順で取得することができます。
- 税務署の窓口での受け取り、または国税庁のWeb サイトでダウンロードする
- 作成した書類を税務署の窓口での提出や郵送のほか、国税電子申告・納税システム「e-Tax 」で提出する
- 提出後は控えを必ず保管しておき、e-Taxを利用する際は必ず該当データを保存しておく
事業登録・開業届の記入項目
- 税務署名・提出日
- 事業主情報
- 職業および屋号
- 届け出の区分
- 所得の種類
- 開業・廃業等日
- 開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
- 事業の概要
- 給与などの支払いの状況
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無
- 給与支払いを開始する年月日
- 関与税理士
開業届が必要な手続き
- 事業用の銀行口座の開設
- 事業用のクレジットカードの開設
- 金融機関からの融資
- 一部の給付金・補助金・助成金の申請
- 小規模企業共済への加入
ビジネスアカウントのメリット
これらの作業によって取得した開業届は、TikTokに登録することでさまざまなメリットを得られます。
こちらでは、TikTokのアカウントをビジネスにすることによって得られるメリットをご紹介します。
信頼性が高まる
TikTokのアカウントをビジネスにするためには開業届・事業登録が必要になります。
先述の通り、開業届は公的に事業を運営していることの証明書類となるため、社会的な信頼性が高まるのです。
TikTokを運営しているとさまざまなユーザーを目にすることがありますが、ほとんどは個人アカウントになります。
TikTok内で多くの人に見られる(バズる)ことを目的としたTikTokerも、個人アカウントの人がいます。
また、ビジネスアカウントの特徴として、プロフィール欄に外部リンクを設置できるというメリットがあります。
公的な書類を提出して信頼性が高まっているからこそ、外部リンクにアクセスする可能性が高くなるのです。
ビジネス特典を得られる
TikTokのビジネスアカウントは、無料で利用が可能なサービスであり、主にマーケターが使用します。
ビジネス目的でTikTokを運用する個人事業主・企業は、認知拡大やTikTokを通したサービスの購入がゴールになります。
そのためにはどのような動画が視聴されているのかや、視聴しているユーザー層などを分析しなければなりません。
下記はビジネスアカウントに設けられている特典であり、事業登録を行うことでこれらのメリットを受けられます。
- パフォーマンスおよびオーディエンスに関する詳細データを参照できる
- オーディエンスエンゲージメントを促すツールを利用できる
- コンテンツのインスピレーションを得るためのクリエイティブツールにアクセスできる
- ウェブサイトへのトラフィックを促進する機能を利用できる
これらを利用して、TikTokを利用したビジネスを拡大していきましょう。
広告を配信できる
TikTokビジネスアカウントを作成することによって、自社商品やサービスに興味がある可能性が高いユーザーに広告を配信できます。
いわゆるターゲティングと呼ばれるもので、下記のように細分化して配信が可能です。
デモグラフィック
- 性別
- 年齢
- 地域
- 言語
- 世帯収入
- 購買力
オーディエンス
- 保有している顧客リスト
- 広告を視聴・クリックしたことがあるユーザー
- アプリのインストールやアプリ内の課金をしたことがあるユーザー
- 自社サイトに訪問したことがあるユーザー
- TikTok Shopでインタラクションがあったユーザー
- 広告を経由してお問い合わせしたことがあるユーザー
- 自社のビジネスアカウントをフォローしているユーザー
類似オーディエンス
- 上記のオーディエンスに類似しているユーザー
興味・行動
- 興味関心
- 購買意向
- 行動
- ハッシュタグ
- スマートターゲティング
デバイス
- オペレーティングシステム
- OSバージョン
- デバイスモデル
- 通信環境
- 通信キャリア
- デバイス価格
- インターネットサービスプロバイダ など
このように、TikTokでは非常に細かいターゲティングを設定できるため、費用対効果を高められます。
アナリティクスにアクセスできる
TikTokアナリティクス(インサイト)とは、投稿別や日付によって、どのように数値が変化したかを分析できる機能です。
改善のためにはデータ分析は不可欠な作業であり、個人アカウントではこのアナリティクスにアクセスができません。
視聴者の興味を引いた動画やユーザーの行動などを分析して、フォロワー数増加や視聴数増加の施策を検討できます。
下記はTikTokアナリティクスで確認ができる指標であり、これらを参考に改善案を立案しましょう。
- プロフィールの表示回数
- リーチ数
- 再生回数
- いいね数
- シェア数
- セーブ数
- フォロワー数
- トラフィックソース
Eコマースと統合できる
TikTokをビジネスアカウントに切り替えることで、プロフィールページにショッピングバッグのアイコンを表示させられます。
ユーザーが販売者またはクリエイターのアカウントから直接買い物ができる機能であり、収益に直接影響をおよぼします。
ユーザーは商品を閲覧し、興味がわいた、購入を希望する商品をそのまま購入できます。
こちらは「Showcase」と呼ばれる機能であり、下記の用途で利用できます。
- 公式TikTokアカウントとして、Showcaseにすべての商品が表示される
- マーケティングTikTokアカウントとして、ブランドの商品の一部またはすべてが表示される
- アフィリエイトTikTokアカウントとして、ブランドの商品の一部またはすべてが表示される
また、TikTokではShowcaseのほかに、「TikTok Shop」と呼ばれるものがあります。
それぞれの違いは下記のとおりであり、いずれもビジネスアカウントでなければ利用できません。
相違点 | 商品ソース:TikTok Shop | 商品ソース:ショーケース |
アセットのアクセス権限が必要 | TikTok ShopとTikTokアカウント | TikTokアカウント |
広告に選択可能な商品 | 選択したTikTok Shopに属する商品 | 現在ショーケースに表示されている商品商品は1つまたは複数のTikTok Shopに属する場合があります |
広告の最適化 | 選択したTikTok Shopに属する商品の売り上げに最適化される | 現在ショーケースに表示されている商品の売り上げに最適化される |
ビジネスアカウントのデメリット
開業届を提出しなければならない
前提として、TikTokのビジネスアカウントを利用する際は開業届をTikTokに提出しなければなりません。
開業届を提出する際にはさまざまな書類を記載・提出しなければなりませんが、提出期限が決まっています。
原則として事業を開始してから1ヶ月以内に提出しなければならず、提出の際には税務署に直接持参したり郵送したりします。
しかし、e-Taxを使うことで外出せずに、24時間いつでも提出できるため、手間という観点では効率化が改善できます。
とはいえ、開業届はすべて受理されるわけではなく、下記の要因によって受理されないことがあります。
- 必要書類が不足している
- 記載内容に不備がある
- 提出先が誤っている
- 記載内容に矛盾が生じている
これらの要因によって受理されなかった場合、期日内に再度実施しなければならないため面倒に感じる人がいます。
使用できる音楽やエフェクトに制限が発生する
TikTokのビジネスアカウントでは、個人アカウントと比較すると使用できる音楽やエフェクトに制限が発生することがあります。
TikTokにはさまざまな音楽やエフェクトが用意されていますが、それらでは不十分な場合、外部から取り込む必要があります。
外部から取り込んだ音楽やエフェクトを使用する際、著作元に対して許可を得なければ、著作権侵害となってしまいます。
個人アカウントでは使えた音楽やエフェクトが、ビジネスアカウントでは使えなくなった、ということもあります。
使えるものが少なくなるとクリエイティブが制限されるため、一層の工夫が必要になります。
炎上リスク
ビジネスアカウントに限らず、TikTokでは不適切な動画を投稿してしまった際、炎上してしまう可能性があります。
不謹慎なものや性的なものなど、自由な動画を投稿できるからこそ歯止めが利かなくなるものです。
また、長い間同じような動画を投稿していると、マンネリ化を解消するために過激な動画を投稿しがちになることがあります。
ビジネスアカウントでは社名やサービス名に関する動画を投稿するため、炎上すると大きなダメージを受けます。
ひとたび炎上してしまうと謝罪や動画の削除など、いわゆる「火消し」の作業に追われることになります。
そのため、動画を投稿する際には複数名でのチェックなど、炎上に対するリスクを最小限に抑えましょう。
まとめ|企業・個人事業主ならビジネスアカウントを使おう
こちらの記事では、事業登録を行ってTikTokビジネスアカウントを運営することについて解説しました。
本来の事業登録とは、個人事業主として事業を始める際に「開業届」を提出することになります。
TikTokではこちらの事業登録を行い、取得した開業届を提出することでビジネスアカウントを使うことができます。
ビジネスアカウントでは信頼性が高まる、ビジネス特典を得られる、広告を配信できる、アナリティクスにアクセスできる、Eコマースと統合できるといったメリットを得られます。
一方、開業届を提出しなければならない、使用できる音楽やエフェクトに制限が発生する、炎上リスクには注意が必要です。
ビジネスを展開している人は、開業届を提出してTikTokのビジネスアカウントを使いましょう。
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https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
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